今日は柔術から学んだAction/Reactionの原則というものをご紹介していきます。
Action/Reactionの原則
柔術では先生から教わったテクニックを練習する時間を終えるとスパーリングで自由に技を掛け合う時間というものがあります。そこでは体格差や帯が違う人達と練習することになるのですが、上級者とスパーリングをやると、自分では動いているつもりでも、実は相手の意図通りに動かされているという事が日常茶飯事です。ちなみに、本人は動かされているという事に気付いていない、仕留められてから気付くというパターンが多いです。
何故こうなるのかというと、上級者は餌をまいて相手にトラップを仕掛けるのに慣れているからです。ネズミ捕りに引っ掛かったネズミのようなもので、素人はチャンスと思ってそのトラップに飛び込んでくるので、「待ってました!」と仕留められてしまう事態になるという、まるで将棋やチェスのような世界が柔術ではよく繰り広げられています。
ボクシングで言えば、相手の攻撃を誘っておいて、相手がパンチを打ってきたところにカウンターを合わせるという高度な世界です。
会社組織におけるAction/Reactionの適用
これを会社組織に適用するとどうなるでしょうか。ちょっと考えてみましょう。
サラリーマンというのは部署の異動が数年おきに発生し、割り当てられた部署で割り当てられた上司・同僚・部下と割り当てられたミッションを遂行するという役割です。
即ち、「割り当てられた」担当業務という時点で殆どの仕事はReactionになると言えるでしょう。逆に言えば、例えば上司が出張や休暇の場合は「鬼の居ぬ間に洗濯」として、ゆっくりとでもしようかという発想になる訳です。
ですが、中にはReactionをActionとして捉える優秀な人が出てきます。元々はReactionであった担当業務をActionとして主体的に捉え直し、建設的な方向で楽しみながらパフォーマンス良く仕事を遂行していく訳です。
よく「当事者意識を持て」、「主体性を持て」と言われますが、これはそもそも仕事はReactionから発生しているところをActionに切り替えろと言っている訳でして、Actionを増やすことは主体性の発揮とかエンゲージメントと言われます。
ちなみにプライベートでは皆完全にActionなはずです。遊びでやっていることは誰かから要請されたからという理由であるはずはなく、完全に自分の判断で楽しんでいるはずです。「仕事というReactionを遊びのようにActionとして行う」とも言えるでしょう。
上司と部下の関係性において
ここからが更に面白いのですが、自分にとってReactionという事は誰かActionして自分に仕事を与えた人がいるはずで、それは当然ながら自分の直属の上司になります。即ち、部下にとってのReactionは上司のActionの結果とも言えるわけです。
ですが、上司のActionというのもその上の上司のActionの結果とも言えますので、自分の上司はReactionされているとも言えます。このように、「経営トップから数珠繋ぎのように、相互にAction/Reactionの関係を維持しながら仕事が降ってくる」という組織上の仕組みになっています。
ここからが柔術で学んだ戦略の転用となるのですが、私は次のように思っています。
- そもそも通常仕事がReactionなのかActionなのかという事を感じる事もありません。柔術で騙し騙されという練習を日々しているので、そのセンスが磨かれていきます。自分がReactionなのか、Actionなのかは自分が意識すれば必ず気付きます。
- また、良い上司というのは、部下にReactionさせるのではなく本人のActionを引き出すような関わりをする人と思っています。普通に指示を出しているだけでは、上司にとってのActionは部下にとってのReactionとなる訳ですが、そこを部下がActionとして捉えやすいように会話をする、という事です。部下に自発的にエンゲージメントさせる、とも言えます。
- 纏めると、「自らの仕事を意識的にActionに持っていく」と共に「部下に対しては柔術のスパーリングのようにあちこちに餌をまいて、部下が自ら望ましい行動を取るように仕向ける」のです。このような高等な戦略を顧客と接する時のみならず社内でも転用できるよう、日々当たり前の感覚として磨いていくことが柔術の練習を通じて可能となっていると感じています。
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